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2010年3月13日 (土)

「貴人」とは

 2010/03/06の記事
 「東貴人且座」と書いたら、

 「なんて読むの?」と質問がきました。

 ・・・確かに。

 「とう・きにん・しゃざ」です。
(裏千家では「且座」を「しゃざ」と読むのですが、表千家では「さざ」と読まれるようで、ま、流派によって読み方は違うかもしれません。)

と答えたら、

 「それなに?」
とさらにストレートな質問がきました。

 ・・・ごもっとも。

 「東貴人且座」→「東(亭主役)を貴人(高貴な方)が行う且座(お茶のお稽古のひとつ)」。

 詳しく説明すると、長くなるけど、と言ったら、
 「んじゃ、いい」
と質問者は逃げていきましたが、

 続けます。

 亭主(東)は、主なお点前をする人(濃茶を練ることが多い)。
 「東貴人且座」の場合は、亭主が貴人の役もします。

 且座は、5人で札を引いて、
 ・東(濃茶を練る)
 ・半東(道具の準備をして、薄茶を点てる)
 ・正客(香をたく)
 ・次客(花を入れる)
 ・三客(炭をつぐ)
を分担して行います。

 そして、貴人。
 実は、定義がいまひとつ、不明。

 「原色茶道大辞典 淡交社(昭和50年5月初版発行)」、「角川茶道大辞典 角川書店(平成2年5月初版発行)」には「貴人」の項がありません。

 先日発売の「新版 茶道大辞典(淡交社)」には、

【貴人】身分の尊い人。官位の高い人。

という記載があります。

 ・・・よく、わかんない。(官位が高いって、何位以上のこと??)
 手持ちの古い本をみてみました。

【貴人点】
 貴人点というのは、高貴の方に対してお茶を差し上げる場合の作法でありまして、往昔は最も多く行われていた点前でありますが、当今では範囲がせまくなったとはいっても実際に行う場合を考えまして、習事のうちに加えてあります。(裏千家茶道教本・点前編・小習事全伝 淡交新社 昭和35年3月改訂初版 p1)

【貴人清次】
 近頃よく、民主日本として貴人点という様式は時代錯誤だといった説を聞きますが、貴人の範囲がせまくなったとはいえ、全く階級なしとはいい得ないので、むしろ貴人点をする範囲と、我々の距離が近くなったともいえるのであります。又尊敬する師家方に対しても、日本的なたしなみとして常識として心得ておく可きであると思います。(同上 p16)

 かつては、「貴人の範囲」といっただけで、「なんとなくそこらへん」という暗黙の了解があったのね、たぶん。

 さらに調べてみたら、こんな質問が。

:貴人点の貴人は、どのような人を指しますか。
:身分の高い人、立派な家柄の人のことをいう一般的な意味の他に、禅的な意味での貴人も含まれてもよろしいかと思います。(茶の湯Q&A 淡交社 平成3年9月初版 p117)

 ・・・ますます、わかんない。
 何代か続いた実業家の家もありってことかなあ。
 その上、お坊さんまで入ってきちゃった・・・。

 わたしとしては、
 「貴人」=「天皇と、それにつながる感じの人たち」
という印象を持ってます。なんとなく。

 なので、貴人関連のお稽古で、
 「あああ、お手討ちになっちゃう~」と笑い合いながらも、

 「貴人って、手討ち、する? お手討ち、って武士がすることだよねえ。でも、武士に高い官位が与えられることもあるから、ありなのかなあ」
 「まあ、貴人の範囲を定義するなんてことが、そもそも、野暮なんだろうけどねえ」

 つい、つらつらと、考えてしまうのです。
 花粉症で、ぼーっとしている時季に、あんまりよろしくないテーマです。

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コメント

秋篠宮さまに貴人点てでお薄を差し上げていたのを淡交で見た事があります。
やはり現在では皇族方に限られるのかなと思いますが、戦前は華族の令夫人がひょっこりお茶会にお供をつれていらして、貴人点てのお点前でおもてなしたと何かで読んだ事があります。
商家でも男爵の爵位をもってる方でしたら貴人点てもあったのかもしれませんね。

投稿: CJ | 2010年3月13日 (土) 12時29分

「東貴人且座」、実は私も何て読むんだろう、って思ってました。お茶の用語って難しいですね。そういえば「貴人点」、最初「きじんてん」って読んで笑われたのを思い出しました(^_^;)。

先日のお稽古で1人の方が「貴人清次」をやっていました。私は貴人さま役で座ってましたが、ほんとにこちらが恐縮するようなすごいお点前ですね。先生に、今でも貴人点は使われるのか尋ねてみましたが、やはり皇室の方に使われるとのお答えでした。・・・でも、前に別の方のお稽古があった時、貴人さま役の方が「苦しゅうない!」なんてノリノリでやってたと聞いて、笑ってしまいました。

投稿: two-tea | 2010年3月13日 (土) 13時04分

CJさま
 かつては、「ひょっこりお茶会にお供をつれて」なんてこともあったんですね。いつも新品の貴人台と貴人茶碗の用意があったということなのかしら・・・。
 淡交掲載の「ほんとうの貴人点」の写真、拝見したかった~!

投稿: まりも | 2010年3月15日 (月) 19時50分

two-teaさま
 「山道盆」は「やまみちぼん」と読むのに、「輪花盆」は「りんかぼん」と読んだりして、ほんとに、読み方はよくわかりません。その都度、そんなもんかぁ、と覚えるしかないですよね。
 この前も「入子点」は「いりこだて」? 「いれこだて」? とわからなくなりました。(正解は「いれこだて」)。

投稿: まりも | 2010年3月15日 (月) 19時59分

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