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2010年6月21日 (月)

きものの杜・その24(衣装くらべ)

◆問◆
 次の文は、喜多村信節(のぶよ)が、江戸時代の風俗・習慣などに関する事柄を分類し、考証を加えた書籍の一部である。

 江戸の石川六兵衛といふもの、京都の難波屋十右衛門といひしものとひとしき奢りものにて、京に登りける時、難波屋が女房聞とひとしく、緋綸子洛中の図を縫はせける。石川が女房出立て東山筋徘徊せし日、黒羽二重に立木の「イ」の小袖をぞ着ける。見合する迄もなく京の方こそ結構なれ。何の衣装くらべぞと例の京童云そしる。能々(よくよく)みれば「イ」の実は珊瑚珠を砕きひしとぬひ付させける底至りに、難波や負しと延宝の末の世語りなりし。天和の初頃、この石川追放せられけるとぞ。

1・この本の書名を答えよ。
2・「イ」に入る木の名前を答えよ。

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 出典は、有吉佐和子『真砂屋お峰』のもとになった衣装くらべの話です。

 「関白秀吉献上の金襴の胴着」と「長州毛利家献上の銀欄」を「金糸銀糸を以て縫い合わせた」裲襠を身につけた、京・三条西家の姫君に対し、
 「もともとが京都の誰が出てきたって頭を下げる筋合のない江戸は材木屋の女房」である真砂屋お峰が啖呵を切るくだり、

 「献上などという言葉は無学の江戸者は使いませぬが、姫君様のお召物は、さようでございますねえ、手前どもの江戸にては、お貰いものとかお下りとか、または継ぎはぎの古着と申します。幸か不幸か私は、まだそのようなものは生まれてから一度も手を通したことがござりませぬ」

 実に痛快。

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◆答◆
1・嬉遊笑覧(岩波文庫で全5巻。この話は1巻の316頁に掲載)
2・南天

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