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2013年10月 7日 (月)

国立歴史民俗博物館・中世の古文書 -機能と形-

 国立歴史民俗博物館のページ
 こんなの発見。

■ブロガー20名様を「中世の古文書-機能と形-内覧会」に特別ご招待

 応募してみたら、なんと御招待状(メール)が届きました。
 そして本日。

 車でしか行ったことがなかったので、遠いイメージでしたが、三郷から1時間で行けちゃう(上野からも京成線で1時間)。そして、駅からもなんとなく遠いイメージなのに、徒歩約15分。バスもどんどんきて、2区間、160円。(交通案内は博物館のページにとても詳しく記載)。

 バスを降りると、すぐわかる

 真ん前に到着する「国立歴史民俗博物館」を経由するバスじゃなく、「国立博物館入口」で降りると5分くらい坂を登ります。

 いやほんと、けっこうな坂でした

 ・・・写真だととてもゆるやかに見えるのが悔しい。そこそこ、疲れます。

 到着したら、やけに人がいっぱい。あれ?と思ったら、報道関係者の内覧会も兼ねているのでした。そりゃそうだ。休館日に一般20名はあまりに贅沢だもんね。

 開始まで少し時間があったので、展示場前の体験コーナーを見学。

 折る手紙ももらえます
 「中世の手紙を折りたたんでみよう」

 花押も作れちゃいます
 「自分の花押(サイン)を書いてみよう」

 巻紙っぽく置くと中世に近くなるのかあ
 「中世の手紙を完成させよう」

 送る相手と自分の花押がマグネットになっていて、手紙のどこに置くか考えるコーナー。

 楽しくいじっていると、博物館の方がすすっと寄って、「どうぞ、置いてみてください」。

 日付の左下に花押、送る相手を一番最後に置くと、

 「中世の手紙に近いですね。ここで、花押を本文の右に持っていってみましょう。これは、将軍が出す形です。出す人によって、この位置が変わってきます。日付の下に花押があると、へりくだっているということを表しています」
 「つまり、花押がどこにあるかによって、差出人のえらさがわかるってことですか?」
 「そうそう、そうです」
 へえええ。
 「読めなくても大丈夫!というのが今回の展示のテーマです」

 確かに、形式をながめるだけで、十二分におもしろい。

 「何々家ごとの文書はあっても、総合的に俯瞰する展示はなかった。総合力では史上最強です」と、力強いご挨拶の後、ギャラリートーク開始。(以下、文中の数字は図録所収の番号に拠る。また、写真と文が一致していないものもある)。
 

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 蔵人。めでたし!(枕草子)

 天皇のおっしゃったことを蔵人が書き留めたものです(7 口宣案)。
 天皇はあんまりご自分でお書きにはならないので、仰せになったことを他の人が書く。この紙、灰色ですよね。実は一度使った紙を漉き返して再利用してるんです。蔵人の作った文書はこの紙、宿に紙と書いて「宿紙(しゅくし)」、に書いてあります。別に天皇が環境保護をなさってたわけじゃなくて、紙がないのでリサイクルですね。

 日付の真下に名前を書かないといけない気がしてきた

 当展示の目玉のひとつ、「14 源頼朝の下文(くだしぶみ)」です。この位置、文書の右端に花押を書くのが、一番えらい態度です。神奈川県立歴史博物館から、特別にお願いして借りてきました。こちらでは11月4日までの展示ですので。
 これ(17 関東下知状)は、執権の書いたものですね。「下知如件」とあります。将軍の意を表しているのですが、名前を日付の下より一行ずらしてあります。なんかこう、いじましいというか。日付のすぐ下には書かない、えらいんだぞということをここで示してるわけですね。

 裏紙が国宝

 この屏風(高山寺文書(聖教紙背文書屏風))、一番右上は、義経の直筆です。実は、ふたつくらいしか残っていない。なぜでしょうか?これは簡単、朝敵になったからですね。名前まで変えられちゃって、義顕、といいますが。あちこちに書状もあったようですが、もう価値がないということで捨てられてしまった。
 で、これは、八条院暲子の家政に対して提出した手紙です。用が終わったので、裏紙として使われた。文書は要らないけど、紙は要る。線があるでしょう、ここで折って、袋とじノートにして、高山寺のお坊さんが書いていたわけです。ずいぶん後になって、明治くらいですが、なんか裏に書いてあるぞと見てみたら出てきたんです。

 なんか書いときゃいいって、そんな

 除目のときに作られるものです(145 大間書)が、最後のほうは幽霊、架空の人物ですね。役職があるといいぞということでお金を出して買ってたときもあったのですが、室町も終わりの頃になると、もう下の役職なんかいらないんです。でもまあ、あんまり空いてるのもみっともないと思ったのか、こんな名前があります。「大蔵積宝」(146 県召除目成文)。そしてこれがその年の除目です(147   県召除目聞書)。ここにもちゃんと「大蔵積宝」と名前がある、んですが、こんな人、いませんよね。書いてる人も楽しんでますね。

 この先でつまむ方が、難しそう

 京都御所からお借りしちゃいました。文杖(ふづえ・ぶんじょう)(148)です。
 下にあるのが、ちょっとかすれてて見づらいですが、菅原道真が文書を天に差し出しているところ(217 「北野縁起絵」)。これ、受け取ってもらえちゃうんですよね、それで道真は天満大自在天神になるわけです。

 これは(132 広橋兼綱譲状草案)、家督を譲るときの文書ですが、「家記・文書」、と最初に書いてあるのが大事です。貴族は毎年同じことをしてるから、あれ、親父のときどうやってたかな、なんて見返したりするので、記録が大事なんです。それでやたら日記を書くわけですけど。

 東は合理的。素敵。

 これは室町時代の高札です(184 細川政元制札 185 細川政元制札案)。三箇条で縦長、木目も縦。
 隣が信長のものです(186・187 織田信長制札)。内容は三箇条でまとめられるようなものじゃないんですけど、むりやり三箇条にしている。木目も縦。室町のを意識して、踏襲してるわけです。
 こちらが北条(188 北条家制札)。頓着しないので横長。合理的です。西と東では明らかに違います。

 切実で、ちょっとつらい

 これは、あんまりびっくりしたので、国文学研究資料館からお借りしてきました(190 日本軍旅団司令部青島民家宛禁制類掛軸)。第一次大戦時、現地で保護すべき家に貼った、貼紙です。「この家は我が軍に対して非常の好意をもって物資を調達し」「この家は大砲弾にて死人二人を出して」「徴発を厳禁す」などと書いてあります。中世の制札とほぼ同じ(191 畠山義就制札)なのは、偶然か、または軍の中に中世の制札について詳しい人がいたのか、わかりませんが。

 あまりに長くなるので、短めに。(もちろん、このほかにもいっぱいあるんだけど)。

・中世は役所が機能しないので、当事者同士で決めた。
・女性が書いた、かなの寄進状に拇印と爪印が押してあるものがある。とにかく身体を使ってサインするのが大事。
・戦争になると文書が飛び交う。恩賞がほしいわけで、ただでは戦わない。がんばったということを書き、承知したと書いてもらって、恩賞をもらう証拠にする。
・文書には人間関係が凝縮されている。
・秀吉の出す文書が、どんどんえらそうになってる。
・太閤秀吉と関白秀次が同じ形式の文書を出してる。足利尊氏、直義のときもそうだが、二頭体制崩壊の兆しが見える。
・尊氏直筆は、「名筆家が書いたのでは到底ない。なんというか、味わいのある字です」。
・本来、書状は2枚セット(「今でも、便箋を2枚にして出す方がいらっしゃるでしょ」)。でも紙がもったいないので、半分に折って2枚に見せかける。

 種類も細かく書いてあります
 
 第2会場(企画展示室B)には、料紙の展示もたくさん。

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 ギャラリートークはしっかり聞きたい、でもけっこう人が多くてどうもよく見えない、写真も撮っていいと言われてるけどそんな暇はない、であっという間に終了。

 ギャラリートークは、まだまだ開催されます
 そして、タブレット端末・スマートフォンでも、解説が聞けるそうです(館内のみ)、が、イヤホンかヘッドホンが必要とのこと。

 ・・・なんか書いていたら、いっぱい見落とした気がしてきたなあ。もう1回、行こうかなあ。今度はもっとじっくり。

 レストランにも行きたい

 閉館日で開いてなかった、ミュージアムショップにも行きたいし。

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コメント

先日は御来場ありがとうございました。
ブログでは全体をうまくまとめてくださり、ありがとうございます。ツイッターでも紹介させていただきました。
当日は時間が少し短くて申し訳なかったです。ぜひまたお越し下さい。

投稿: 小島道裕 | 2013年10月12日 (土) 22時00分

 この企画展示の代表者でいらっしゃる小島先生からコメントをいただき、光栄です。ありがとうございます。
 お話にすっかり引き込まれ、あっという間の時間でした。次回は、最後のコーナーの床の間飾りの文書もじっくり拝見する予定です。今後ともどうぞよろしくお願い申し上げます。

投稿: まりも | 2013年10月12日 (土) 23時39分

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