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2016年6月11日 (土)

一期一会

 回復期リハビリテーション病院で、母はせっせと歩行訓練中。(多いと1日4コマくらいある、スパルタ。でも療法士のみなさんがやさしくて一生懸命なので、母もがんばってます)。

 ほんとは、広々とした食堂兼デイルームでやりたいんだけど、食事制限の人もいるので、ちょっとねえ、と思っていたところ、家族や見舞客がお弁当を食べているスペース、発見。

 敷物は、永楽屋の手拭

 道具一式を入れた保冷バッグを置いたあたりで、右からのものすごい視線を感じたけど、手ぬぐいを広げ、茶碗を出したところで、ついに、「お茶? 表ですか? 裏ですか?」。

 「裏です」
 「そーーなのぉ。わたしね、表千家都流なの。もうやってないけどね、海外のお客様をずいぶんお招きしたのよー」

 声の主は、大きなボタンが印象的なモノクロの服を颯爽と着て、白髪におしゃれな黒い帽子をかぶった御婦人。
 「どれくらいなさってるの? 15年? そうよねえ、最低、10年は必要よねえ。お茶は、総合芸術ですもの」

 会話は続く。まあまあ、どうぞ、こちらにおかけになって、と隣の椅子を勧める。

 「撫子」「蛍火」各324円

 さて、この写真のとおり、お菓子は2個しか用意してません。
 (教訓・お菓子は常に、余分を持つべし)

 「どうぞどうぞ、召し上がって」と母が勧める。
 「いえいえ、まさかそんな」と御婦人は一応断る。
 「どうぞどうぞ」とわたしは懐紙に載せたお菓子を勧める。

 そんなそんな、と言いながら、ごそごそとかばんをまさぐり、「ハッピーターン」をくれました。

 「旅箪笥ってのがあってね、こうやって一式仕込んであるのよ」
 「拝見したこと、あります。これはもう、ありあわせのもので。茶巾もぐちゃぐちゃで申し訳ないんですけど」
 (教訓・茶巾もちゃんと準備すべし)
 「このお菓子も、おいしいですねえ」と、しみじみながめておられる。
 「それは浦和の、白鷺宝というのを作ってる、「花見」というお菓子屋さんのです」
 「ああ、知ってるわー! あそこはこういうのも作るのね」
 「ちょっと小ぶりなんですけど」

 そうこうするうちにお茶が点ち、
 「あの、すみません。・・・ちょっとお湯が熱くて。もうちょっと冷ましてポットに入れてくればよかったです」

 「お先に」「お点前ちょうだいいたします」とおっしゃり、茶碗を手に取り、
 「・・・もう少し後で、いただきますね」
 (教訓・沸騰したてのお湯をポットに入れるべからず。いくらなんでも熱すぎる)

 ややあって、一口召し上がり、「おいしい・・・。でもまさか、ここでお茶をいただけるなんて」と涙ぐんでいらっしゃる。

 「実は、主人が今日こちらに転院してきまして」とひとしきり状況説明があり、「私も昔、お茶やってたんですよ。あら俳句もなさるの?」と母も話し、いよいよ盛り上がってきたところに、「おかあさん! 早く早く、おとうさんがちょっとたいへんで」と女性が駆け込んできた。

 「今、こちらで、お茶いただいてたのよー」
 「あ、どうもすみません!」と頭を下げて、でも(「それどころじゃないっつーの!!」)という気配が漂ってくる。その感じ、よーく、わかります。

 「しばらく入院してますので、またお目にかかるときがあったら」と母とあいさつして、「おいしかった・・・。ほんとに、ありがとう」としっかりわたしの手を握っていかれました。

 「部屋番号、言っておけばよかったんじゃない?」
 「うん、言おうかと思ったけど、ばたばたしちゃったから」

 そのうち、またお目にかかることがあるかもしれません。

 「あ、そだ。宣伝しておけばよかった」
 「なにを?」

 これです。「家族茶道体験」。なんと来週日曜、6月19日に開催。

 「もういっぱいじゃないの?」
 「まだなんとかなる。というか、30人も40人もおんなじ気がしてきた」

 茶碗まみれ

 家に戻ると、
 茶道体験の準備が宴たけなわです。

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