十五夜・うぐいす・月点前
茶箱の「月点前」には、
「うぐいす」を使います。
「月のきれいな頃は風も強いので、茶筅が倒れないように」
こうやって、
器据(きずえ)に、うぐいすを突き刺して、
茶筅を立てる。(写真は、うぐいすに茶筅を立てる途中)。
茶筅が倒れるくらい風が強けりゃ、茶碗にもいろんなものが入るよなあ、と、思ったりもしますが、それはさておき。
数年前のこと。
叔母から譲り受けた器据(未使用品)に、うぐいす(付いてなかった)を買って、おそるおそる・・・
どこに、刺すんだろ。
板に、がしっと、U字の針を刺すわけで、
確実に跡が残る。
へんなところに刺したら、それでおしまい。
「このうぐいす、最初に刺すとき緊張しましたー。このへんかなあと狙いを定めて」
と、月点前のお稽古後に話したら、
「あら。うぐいすを立てる場所って、決まってるのよ」
測った図を拝見したところ、
うぐいすを差し立てる位置は、器据の縦1/4、横中央。
「新版 茶道大辞典」の「うぐいす」の項には、
「・・・定めの位置に突き立てて茶筅立てとする」
とあるので、いろいろ本をあたってみましたが、「定めの位置」についての記載は見つからず。
「茶箱の鑑賞と点前」、「茶箱点前全伝」(新版・旧版とも)に掲載の写真を測ったら、ほぼそのくらいでした。
考えてみたら、「そりゃそうよね」の位置。
自分のを測ってみたら、
横は中央で合ってましたが、
残念、縦が1㎝下。
やはり茶筅の位置が下がってみえます。
そんなこんなで、
本を探したり、
測ったりしているうちに、
「月点前」そのものをする時間(うそ。気力)がなくなりました。
・・・満月がくっきり見えたので、よしとします。
*月点前:茶箱点前の一つ。裏千家十一代玄々斎が創案したもので、器据・うぐいすを利用して茶筅を立て、独特の雅趣を出した点茶法である。香合も茶箱に仕組み、香をたくなど、茶箱点前中で最も美しい点前とされている。(新版 茶道大辞典)
◆追記◆ 2011/09/14 19:45
「きもの大長」さんから、「なんで、うぐいすっていうんでしょう」というコメントをいただきました。
裏千家ホームページ・「お家元と一問一答」にずばり回答が載っていましたので、引用します。
◆問◆(NO.44)
茶箱・月点前で、茶筅を立てる器具を「ウグイス」とお聞きしましたが、その名の由来をお教え下さい。
◆答◆
『安斎随筆』十八巻の続後拾遺和歌集の中に「あかなくに折れるばかりぞ梅の花香をたづねてぞ鶯の鳴く」という歌があります。その歌から後水尾天皇の中宮・東福門院様が使用済みの香包をさす竹や金属製の中央がやや太く丸みをもった棒状の香串をウグイスと命名されたという説があります。香を求めて止まるということからウグイスとされたようです。後に玄々斎が月点前に用いる木据に茶筅を置くために香道のウグイスをU字形に曲げられました。
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